(ネタバレ無遠慮)ヴァイオレットエヴァーガーデン外伝 柏の葉 舞台挨拶上映

ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝、柏の葉舞台挨拶上映、見てまいりました! すばらしい。3週間限定なのでお見逃しなく!

みんなもぜひどうぞ

(舞台挨拶)

なんとB列17番という、石川さんが眼の前で話してくれるものすごい席でした。

茅原さんは「無事上映できました!」て3回も言ってて、正直放火事件で公開を危ぶんだけどと言いたかったけどこの表現までしかダメって止められた感がにじみ出てますが、まあ茅原さんだってそのくらいは言いたいやね。

ともあれ全体としては素敵かつ作品の理解に資するトークでした。言われなければベネディクトの衣装なんか気にしないよ。

石川さんいわくTVシリーズでは原作よりヴァイオレットを大人びすぎないようにしているが、成長を見てほしいからで、外伝ではヴァイオレットの成長を見てほしいということでした。

(話しにくいのでネタバレご容赦)

ヴァイオレットは全寮制女学校の貴族の娘の家庭教師を頼まれます。ヴァイオレットは本業じゃないんだけど侍女・家庭教師を迷うことなくきっちり勤め上げ(作法等どこで勉強したんだ?)、イザベラお嬢様はなんだかすねていて、それは生き別れた妹を思ってであることがわかり、得意の手紙で孤児院の妹に手紙を送り、歳月の後、ようやく物心ついた妹を引き取って返信を手伝い、感動のラストとなるわけですね。

(ヴァイオレットの成長かな)

TVシリーズよりはたしかにヴァイオレット成長しているのかな。元々なんというか無理にわかりやすくいうと長門有希的に人間離れしているというか感情を捨象したやりとりが身上なんだけど、今度の仕事は家庭教師だったり、孤児を引き取ったり、ちょっと積極的かな…いや人との接し方が変わったというより、よく思い出してみると、他人が何を思うのか想像できるようになっているように思われました。

女学校からの去り際に手紙代筆代金を申し出るイザベラに、なんとなく「欲しくないから」と言い切ってしまうヴァイオレット、いままで何でも任務だからといってきたのに、意志をあらわすわけですね。我ながら思考のレパートリーが薄っぺらくて申し訳ないが、あたしゃどうしたって消失長門を銃でリセットした直後に同期拒否しちゃう長門有希を思い出すわけです。

(舞踏会)

ちょっと戻って中盤見せ場の舞踏会えーと劇中ではデビュタントと言ってましたっけ、女学校なので半々に男女役、つまりヴァイオレットが男装の麗人やるわけですね。端麗だけれど背筋の伸びた元軍人で所作もキリッとしているのですからそりゃあ女学生の目を奪わないわけがありません。まあでも女にこれをやらせるという発想、僕が手っ取り早く男装の麗人と記述する言葉があってああアレみたいなもんですねと受け止められること自体が日本ならではのものではないでしょうか。

ところで舞踏会のホール、天井が青空になっていますね。こういう建築には詳しくないのであたりまえのものなのかもしれませんが、手近には東京の迎賓館赤坂離宮羽衣の間がそんなふうになっています https://www.geihinkan.go.jp/akasaka/hagoromo_no_ma/ 総じて聖地巡礼はできなさそうな本作品ですが、まあ一度行ってみるといいかもしれません。

(世界観とか)

世界観は原作読めってだけなんですが、郵便屋が私企業というのは面白いですね。代筆屋が必要だと国家権力の介入はいやらしい感じがする対策にもなるし、神聖ローマ帝国滅亡直後の帝国郵便みたいな例もあります。でも僕はIT屋ですから、ベネディクトが技術は進歩しても郵便はなくならないというシーン、おいおい異世界とはいえ電灯作ってそれはないだろと思います。そしたら劇場版は電話に郵便が駆逐されるっていうので見事な伏線回収(?)ですが、電信はないのでしょうかね。電信が実用化できないSF条件を考えるとおかしくなってしまうので、まあ電信発明されてないんだろうな。あとね、代筆が必要なのは識字率が低いからかなと思ったのだけど、あまり識字率が低いと近代戦ができそうもないので、むしろ代筆を良しとする文化なんでしょうかね。ヴァイオレット旦那様とかいう言葉遣いは上流階級向けサービスを想像させるし。

あとね、白人ぽいヴァイオレットと、日本アニメっぽいキャラたち、肌の浅黒い人、人種がごちゃまぜになっているのはたぶん意図的設定で、アメリカで売って人種差別的と言われないよう配慮しているのでしょう。まあそのくらいはしたほうがいいと思います。

あとは原作だろうけど、地名人名が欧州語ぽいけれど、ある地域はゲルマンぽくてある地域はロマンス語ぽいといった秩序感がなくて、ドイツ語英語ラテン語あたりからちゃんぽんにとってるのと、ありえないような文字を使っているのは、相互間の争いを描くときに欧州人に変な意味合いを持たれない工夫ですね。たとえばエイミー・テイラーは英語で、イザベラはスペイン語だから、もとの村名を英語で、貴族のほうをスペイン語で固めてしまったら英語圏スペイン語圏の人は心穏やかには見られないわけだけど、当然そうはしていない。

まあそんなわけでハルヒみたいにあの駅は西宮北口だって断定して聖地巡礼する感じではあんまりない。

でもあのアルファベット勉強したいな。見るからに大文字小文字がなさそう、字数や出現率から音素文字だろうとは察しが付いたけど。設定資料集にあるかなら買いだ。

なんだかんだ京アニにしては間接的に社会を描いて考えさせる度合いが大きいのは特徴的ですね。

(絵)

絵がきれい。まあそうなんだけど、観察。ユーフォ以来の被写界深度浅い表現はくどすぎない程度に。TVシリーズではなかったのが、髪の数本を輪郭線なしの色線で描いていること。リズ青の鎧塚みぞれの髪の周りの一本線も特徴的だったけど、色線なのでもっと工程上贅沢ですよね。見てる人にわかってもらえるかどうかはともかくとして。

(エンドロール)

すすり泣いてる人は結構いたかな。泣かせる話だからね。エンドロール見て泣き出した人もちょっといたけど、まあそれは多少知っていれば思うところがないわけがない。

エンドロールは、僕程度に知識の浅いもんがちょっと気をつけてみている程度では、特に普通より長い感じではないが、最後の方に僕でも目にした名前がまとめてありました。まあそれもふつうにそうしただろうし。