俺妹黒猫if下巻、ざっと勢いで読んだ感想(ネタバレ無配慮、未読者こないで)

3月10日0時。ついに「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16)黒猫if下」が発売です。20分早く読むためにbookwalkerにお布施ぶっこんで、いざ旅に!

bookwalker.jp

で、ちゃんと読み直す前に、ざっと読んだ新鮮な感想を冷めないうちに叩きつけておきます。

えーといちおう

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まずもって上巻は、怪力乱神を語らない日常世界のはずの俺妹が、まさかのSF展開、宇宙人未来人が飛び出しハルヒオマージュ(あるいはシュタゲのリーディングシュタイナーを言っていたひともいたけれど)でぶっとんだのでありました。

さすがに元の世界に戻るのか、はたまた何かぶっとんだ世界に行くのか、ちょっとはらはらして読み出します。

結論からいうと、ネタバレ気にしなくてよくなったら「千葉みなとのエンドレスエイト」て改題したいくらいなんですわ。

 

p14. 「懐かしき千葉の街。」p34. 「沙織と一週間ちょい前に会ったばかりのはずなのに、何年かぶりにさえ感じる。きっと長い旅だったから」(下線部傍点)おかしなところに傍点がうたれていて、なにやらまた奇妙な時間SFが始まりそうな伏線めいたかんじです。

p45. 「あなたと疎遠になるくらいなら、先輩と別れるわ」これは沙織に対してだから、初見読み飛ばしてしまったけれども、よく考えると、まして桐乃に対してならなおのこと。つまり、運命の夜はまた同じことをすると黒猫が宣言しているようなもの。

ちょっとしたやりとりがあってから」も怖いが、あとで怖くないことがわかる。

「地元の駅」。こんな言い方があったっけ?一貫して千葉駅って言っていたよね。秋葉原から総武緩行線で俺妹コア聖地に行く場合、乗換案内的には西千葉駅も悪くない経路ではあるが、なにしろこれまで全く登場していない西千葉駅(アニメに千葉大は出るけれど)が出るのも奇妙なのでひっかかる。

p48. 沙織のつぎに麻奈実に報告に行くのはまあ順当。京介から告白したということが麻奈実の予想外だったのが、地味子ルート閉じでもあり、上巻で役目のなかった井上の伏線回収であり、そして櫻井事件をひきあいにだしてお節介に「戻った」のでなく恋を自覚するように「変わった」あるいは本線と逆の「しっかりして見える」と狂言回しをしてくれている。このへんは原作読み込んでるとぐいっと分岐度が高まってもうだいじょうぶだね、と期待が高まるところ。

初デートで、駅に用がないというのでびっくりする。デートコースも変えてくるんだ。これは桐乃あやせに対抗して千葉中央駅映画か? まて神猫じゃ席に座れないぞ。

p55. 着脱式ウィングパーツ【神魔】がフルサイズなのは、こちらの神猫が完全体だというtwあり。これも、安心感ですよね。原作・アニメを読み込んでいれば、玄関で突っかかる神猫、家族に止められる神猫、ニヤリとしますよね。

p64.  デスレコ交換日記と思ったら、ゲームに閉じ込められたり、なにやら異世界ものになってくの? (このへんは特に回収なし?)

五更家訪問、まるきりちがった展開。これはこれでなんか安心感があってよい。お父さんフルネーム初確定かな。あと桐乃もゲーム越しに知っているとくる。世界せまいな。お父さんは本線草津温泉でも桐乃に会っているし、桐乃との対決に一枚かむのかとちょっと気になる。

秋葉原、桐乃帰国記念パーティ、じつにほのぼのとしている。上巻の予告で、ここで桐乃と対決かと思ったら、こんなに穏やかになっていいんだろうか、と、冒頭心配して損したよ。

(桐乃の書いたメッセージが宇宙論の骨格になるわけだが、目立ちすぎないようにわざと太字じゃないんだろうけど)

遊園地デート。千葉みなとに行くということは、まあ浦安ですよねー普通。でも、占いなんかあって、えらい和風の遊園地なのが面白い。僕としては都合上浦安を聖地に数えないこととします。無意味に千葉中央駅がでてきて、あやせifの占いを思い出す。

お父さん超グッジョブ。お弁当失敗しないのすごいよこれ。もう世界の意志で黒猫さんを守ってあげているかんじ。

このへんの遊園地デートまで、ずーっともう甘々で、これはこれで見たかったもの。さいこうですね。

(…と、このへんでタイムラインではハルヒクラスタ長門が惚れるきっかけ論、エンドレスエイト論が始まるのだが、)

いままさに読んでいる俺妹黒猫ifで、エンドレスエイト要素が目立ちはじめる。

みんなで書いた予定で残りの夏休みを遊びつくす。

主人公が既視感に襲われはじめ、それが夏休みの終わりに向けて強まっていく。どんどん記述が不穏になる。

(追記1:でも、ここで京介が黒猫母に会って占いを力強く否定するのがいい。)

そして最後は花火大会。本家エンドレスエイトでは中盤だけれど、長門有希ちゃんの消失の夏休みでは最終イベントだ。

そして繰り返されてしまう悲劇。ここで彼女を行かせてはならない。「どうすりゃいい?」

もうエンドレスエイトじゃないですか!

キーワード「どうすりゃいい」はハルヒ憂鬱(ラノベ一巻)の長門有希とのチャットだけれども、そうすると、長門有希がおなじパソコンを通じてもたらした脱出プログラムを思い出すわけですよ。

俺妹黒猫if下巻に戻ると、なんと桐乃が書いた脱出プログラムが発動するわけです。

「これを読んでるってことは、超ヤバい状況なんでしょ?」

なんかそこはかとなく例の長門のセリフっぽいし、状況を想像して可能な限り有効な手を打つっていうことがプログラマの発想だよね。

えーとメインヒロインだからなんとなく桐乃=ハルヒと思いがちかもしれませんが、黒猫ifの世界では、クローズドサークルを望んで宇宙人未来人を召喚するのは黒猫瑠璃さんです。だから桐乃=長門有希。そういえば長門は妹扱いされているなんてたまにいいますよね(と思ってしらべてみたが明文はみつからない)。

黒猫「ただの人間には興味ありません!」www.pixiv.net

(追記2:桐乃=長門有希とすると、長門が好きでたまらない某刃物女が連想されます。青バニーフィギュアで有名な… なんか突然刺してきそうですよね… 同日発売のあやせifコミックみたいに)

朝倉涼子(バニー)www.pixiv.net

これはハルヒクラスタのほうから来た僕としてはぶったまげたわけですよ。

さて、俺妹の世界に帰ると、こっからがすごい。スピードを上げてきた物語がもう滝のように勢いを増して流れていく。

黒猫から桐乃の恋心を誤解のないようにド直球で伝えられて、鈍感主人公から一気にクラスチェンジさせられた京介は、なのにまったく迷いなく黒猫をつかんで一瞬も離さない。

「桐乃の気持ちを知ってなお、同じことを言ってくれるのかしら?」

「お前が好きだ。桐乃よりもな。瑠璃が一番好きだ」

この問いは、本編での有馬温泉(アニメでは草津温泉)とそっくりで、かつての黒猫ルートスピンオフ「俺の後輩がこんなに可愛いわけがない」では幕張でのあやせ・桐乃対決のときから直近の「あやせif」まで繰り返し使われてきた「同じくらい好き」レトリックでギリギリ黒猫を救うのですが、今回の黒猫ifは違います。

同じくらいじゃなくて、一番好きといって力の限りまくしたててもらえた黒猫は、これはもうこの上ない果報者でしょう。これ以上はない。

あやせifと扱いが違うのだって不公平かもしれないけれど、いや、だって、黒猫はそのくらいしてもらってもいいと思うんだ。本線12巻3章末尾で明かされる、松戸の運命の夜12月20日の拒絶では、桐乃が誰よりも好きと言われて、黒猫はお人よしにもそれを録音再生して京介の背中を押す役をやらされている。その後でだってやさぐれているのに。

そういう前の世界線を見て来た黒猫派の読者、8年のブランクを越えて、決着をつけてやるのには、やっぱりここまでしなくっちゃ。堂々の完結だと思います。

京介の描写。鈍感主人公からの切り替えは急だけれど、意識的に態度を決めて、低い自己評価に閉じこもっている黒猫を引っ張り出す姿は、もうひとりのかぐや姫、櫻井秋美を不登校から引き出そうとする姿と似て、そこに京介らしさの一貫性を感じさせるのもうまいところです。原作11巻読んだ人にはちゃんと思い出せるように伏線もありますよね。

 ごめんここまで語ったら力尽きた。

なんとなく続きがありそうな、この物語自体がまた繰り返しのなかにあるような、不思議な終わり方ですね。