俺妹2期のラスト4話の感想とか

俺妹つまり「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」ですが、一気見して、言葉も失うくらい圧倒されて、もやもやして1週間後にわーっと感想書いて、一度消して1週間たったのですが、まあ、やっぱり残しておこうかな。

もう、当時の言葉を失う感覚は去りつつあるのですが。

もろネタバレです。

 まずは何を見たかというと、アマゾンプライムにある1期2期です。なので1期はGOODENDです。TRUE ROUTEは知らないです。するっていうと、2期の(放送された)12話まではラブコメが盛り上がっていったところでラスト4話で突如としていわゆる桐乃ルート、兄妹の恋路を爆走することになります。まあ、作品タイトルからしてそういうものなわけですし、当時から論議を呼んでいたのを横目で見ていたから知ってはいましたが、やっぱすごいなあ。

桐乃が麻奈美を嫌っていた理由が与えられてしまうのがきついな

いわゆるハーレム設定、主人公がたくさんの女の子から好意を寄せられる状態ですね、そのまま終わらせないで、誰かを選ぶとなれば、残りをどうするか、安全な着陸の仕方が普通は問題ですが、よせばいいのに律義にひとりひとり振っていったのが話題になったわけですね。その最後が16話、主人公京介の幼馴染の麻奈美です。京介・桐乃と待ち合わせるのは護国神社前で千葉公園に進み、僕は9話までみたところで聖地巡礼したので位置関係もよくわかります。

で、まあまずもって桐乃と殴り合いのマジ喧嘩。もともと桐乃はなぜか麻奈美を毛嫌いしているのですが、それは麻奈美が桐乃の想いを8年来知って邪魔してきたからだということが明かされます。二人の仲が悪いのは作品世界のけっこう重要な構造で、その意味が主人公と視聴者に同時に示されるんだけど、それがメインヒロイン桐乃の怨念なので当惑するわけです。とんでもないハードランディングです。

地味子の説得は悪くない

で、麻奈美は長広舌で二人を説得しようとするわけですね。最初に「気持ち悪い」から入るのは好感しました。法や社会通念など誰か「みんな」ではなく、麻奈美が話の足場を引き受けるのは余計な哲学のパンドラの箱を開けてしまわないためにすごく「ほっとする」し、なにより潔い。これに恋愛なんてみんな気持ち悪いんだ、という京介の切り返しとセットでよくできています。

ついでにいえば、よせばいいのにゲームの悪影響と麻奈美が言うのも、原作1巻での親子の説得を思い出していいですね。なぜかゲームが悪者にされるのは、もうそろそろ終わりかもしれませんが、2020年の現実社会でも終わった問題ではありません。

まああとはしょうがない。麻奈美さん、二人の親に伝える、何十年隠れて生きるのかと脅して、目を覚ませ考え直せと説き、最後ずっと好きだったと泣いても京介の一瞬のためらいの後で突き放されて、退場となります。「こうして俺の、始まってもいなかった初恋は、終わった」というモノローグはかっこいいけど、事実上の彼女みたいにしていた麻奈美に、あんまりといえばあんまりですね。

桐乃はノープランだったのか

さてここまでの犠牲を払う情熱のに、桐乃はしかし京介に殴りかかって馬鹿なことをしたといって怒るのです。ひょっとしたらフィクションだから兄妹愛がなんとなく許されるという設定なの?という解釈もナシになり、作中世界でも社会的死になったのが確定ダメ押しです。が、じゃあ桐乃は一体どうしてほしかったのか。相談していなかったようです。

しかもですよ、麻奈美が何をするかわからない状態はほったらかしで、チャペルで絵になる結婚式の恰好のあと、卒業までの期間限定恋人で普通の兄妹に戻ろうという話だったというのです。

まあ、このオチ自体は発表当時のネットの反応みて知ってました。沙織も「京介殿、信頼しておりますぞ」と伏線張ってました。相思相愛を知りあって外泊で、あえて何にもしない描写があるのも伏線ですね。そして、このオチを最後の最後まで視聴者に伏せておかないとつまらないというのもわかるのですが、でもさ、実は12月時点で桐乃とそこまで相談をして、恋に突っ走らない自制ができていたんだったら、まあ3つも上の兄さんとしてはちょっと中学生にもなっていまさらのオママゴトに付き合っている感じが出てきちゃいますよね。劇中では12月から一瞬ですが、3月にもなって、京介は麻奈美を取れば、あるいは少なくとも切り捨てないで待ってくれとか言うことはできるでしょう。

そこに眼が行っちゃうとなんかどうにも木に竹を接いだような違和感でもやもやしていると、逆算して、メタというかおもっきり大人の事情で、作品と世間が折り合うためのいくつもの保険の一つとして、まず麻奈美は世間を代表して説教する役にされてしまって、そこからストーリーが構成されてるのかなあという気もします。

まあ、でも、世間と折り合うのも大切です。まあ一応人に言える結末なので、市営モノレールの千葉駅にアニメツーリズム協会の題額が飾られて、僕も「俺の妹がこんなに可愛いわけがないのクリアフォルダください」と大声で言えるわけですから。

 桐乃も黒猫も、振れ幅がでかすぎる

桐乃も桐乃なわけですよ。13話で幼少時のふりかえり、15話で昔の録音を京介に聞かせ、「この気持ちを忘れたら、私は私でなくなってしまう」という長年の一途な想いと、「チャンスはたった一度だけ」という思いつめを聞かされると、良い悪いはさておいて、まあ話はわかります。表面上の兄へのあたりがキツかったのは、それを知って思い返せば、究極のツンデレですよね。

で、オチのさばさばしかたがつながらない。

黒猫も黒猫なわけですよ。あやせと鉢合わせしたときは勢いで、京介が桐乃と深い仲でも構わない、彼の一番なんかは親友桐乃にくれてやる、とタンカを切っておいて、あるいは松戸の家に京介・桐乃がやってきたときは、お互いに誰とも付き合えないと二人が話すのを聞いていたとしか思えない距離で登場しておいて、14話で同じことを言われて号泣する(本来の意味)わけですね。泣き叫び、世界とすべてのリア充を呪う黒猫はほんとに名演技だと思うけれど、なんかつながらない感じがします。

ウィキぺなんかだと、桐乃の想いを知らしめたうえで、自分を選んでほしいと黒猫は考えていた、と説明するわけですが、なんかそれ14話から逆算してない?

まあ、それでも面白かったよ

でも、あたしも歳をとりすぎたのか、人の思うことはわからない、そんなに一貫したものでもない、と人生ぐだぐだになってくるわけです。まあいいじゃないですか。桐乃も黒猫も迷ってぶれて生きているわけだ。

俺妹2期発表当時も、なんというか話題性重視で筋書きが唐突みたいなことを言っている人がいたわけですが、話題性重視ってことはまあ初見面白いってことです。そういうもんだと知って楽しみました。

それに、舞台が千葉・幕張・松戸(それぞれ、生活圏ギリ外の探索しがいのある街、バリ地元、放送当時住んでいた)という身近な場所なのも個人的にはポイントたかいですわね。

何故いま俺妹がマイブームかわかった... しょうがねえなあ

そんなわけで、2期ラスト4話は12話までとくらべて唐突感があればあるほど、まあそれは見なかったことにして、いやまあ本当は忘れられないんだけれど吹っ切って、今年出たあやせif、発表予定の黒猫if、加奈子ifはすぱっと割り切って楽しめるでしょう。あたしゃどういうわけだか、そういうのが好きなんだ。

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長門有希ちゃんの消失アニメ化の前のわくわくが、ちょっと思い出されるわけですよ。